#気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、パソコン技術やインターネット技術、プリンタやPCアプリからプログラム言語などに関連した記事です。
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楽 天 の 商 品

-2079- Inkscape 技: その2
= 今日は画像なし m(_ _)m =
ここでも書いたが、最近チョコチョコ Inkscapeと言うドローイングアプリを使って図面を描いている。海外製のフリーのオープンソースアプリで、少なくとも自由曲線描画などでは Adobe Illustratorと言う高額アプリに似た処理ができる。
ただ、実際に使ってみたところハッチング(断面を示すため平行な斜め線で塗りつぶす)の操作が実用には程遠かったので、我流でハッチングパターンを登録して使用する方法を別途ここにアップした。
さらにもう一つ、ここではあまり日本語ページや公式フォーラムでも情報が見つけられなかった技を紹介。
図-1
Inkscapeは毎回の起動時、デフォルトだと白紙の A4ページが表示されるんだが(図-1)、実寸比で 30数%程度の小さなズーム比で、しかもそのページ枠は アプリウインドウの左上隅からかなり離れたところになってしまっている。作図する前にこの白紙エリアを左上隅近くに、ズームを実寸サイズ近くにしないとプリントや PNGに変換したときのサイズの感覚がつかめない。しかし表示エリアの移動やズーム比の変更は「Shift」や「Ctrl」キーを押しながらマウスホイールで行う必要があり毎回同じ操作をしないと作業が始められないので結構面倒に感じていた。
Webで「ドキュメント原点」などのワードで検索してもそのものズバリのページは引っかからず、仕方ないので断片的な情報を参考にしつつ自分であれこれトライアンドエラーで解決したのでメモ。
まず、起動時に開く白紙ページに関する情報は Inkscapeのインストールフォルダの \share\templates 配下の default.svg と言うファイルらしい。(デフォルトでは C:\Program Files\Inkscape\share\templates 配下で 日本語表示にしてあると default.ja.svg となっている) ただ、デフォルトの C:\Program Files 配下にインストールした場合 その中のファイルは変更しようとしてもロックされていて変更できない。その場合まず "C:\Users\user name\AppData\Local\VirtualStore\Program Files\Inkscape\share\templates" 配下で同名のファイルを探し(なければインストールフォルダのファイルをコピーして)、そちらを変更する。

図-2

変更にあたってはオリジナルのファイルをリネームして保存しておいてから作業する。で、上記ファイルをエディタで開くと(図-2) 28行目辺りに inkscape:zoom="X.X" と言う行がありこの X.Xと言う数値が初期のズーム比を決めているので、それを所望の数値に変更する。(私の場合”老眼”でも見やすいように 1.4 =140% とした)、更に白紙のページ表示位置を変えるにはその下の inkscape:cx="" と cy="" の中の数値を変更する。(その下の document-units="mm" とした方が分かりやすい。数値を大きくすると左上隅に近づくが、アプリのウィンドウサイズなどによっても適切な数値は変わる可能性があるので、各自の環境ごと確認して変更する必要がある。移動方向は夫々の数値を +10すれば、白紙のページ位置が左または上方向に 10mm移動する。)
その下の inkscape:window-width="xxxx" 、 inkscape:window-height="xxxx" と言う行が起動時のアプリウィンドウのサイズ、inkscape:window-x="xx"、 inkscape:window-y="xx" と言う行がデスクトップ上のウィンドウの左上隅の位置を指定しているのでモニターのサイズや解像度に応じて変更する。
更に、最初からグリッドを表示させたければ showgrid="true" として、その下の方の </sodipodi:namedview> と言う行の前に

< inkscape:grid
  type="xygrid"
  units="mm"
  spacingx="0.5"
  spacingy="0.5" />

と言う行を追加する。(グリッド間隔は zoom="1.4"では 2.5mm間隔でしか表示されず、0.5mmというのは 560%までズームしないと意味がないが、オブジェクトの配置でスナップする間隔を精密にするために設定した数値なので、それぞれの描画の目的に応じて変えたほうがいい。)
(これらの変更は、立ち上げた状態でズームを変えて、グリッドを表示させてから「名前をつけて保存」で default.svg として保存してもいいが、なぜか inkscape:cx="" と cy="" の数値はエディタで変更しないと反映されないようだ。)
C:\Program Files 配下にインストールした場合は、変更したファイルを C:\Program Files\Inkscape\share\templates 配下に管理者権限で default.svg(日本語表示なら default.ja.svg)としてコピーする。
こうしておいて Inkscapeを立ち上げれば、初期状態のドキュメントの表示位置、ズーム、グリッド間隔などが変えられるので、毎回の作業でひと手間省ける。
図-3
なお、以上の設定の大前提として 「編集」メニューの「Inkscapeの設定」で図-3の通り「インタフェース」>「ウインドウ」の設定を「ドキュメントごとにウィンドウの位置とサイズを記憶する」にチェックを入れてある。
2019/07/02