【Ⅱ】 頭脳労働へのヒント


ドキュメント履歴: 2003-08-xx 初回アップ

Ⅱ-1.「おや?」と思う感性
     「何故?」と考える習慣
     「どうしたら?」という自問が出発点

 灯ともし頃に車を運転していて雨が降ってきた。すると急激に視界が暗くなって路面状態が見づらくなってしまった。
車を運転しながら「おや?」と思うと同時に「何故?」と考えると、「乾いている路面は細かな凹凸があってその凹凸の面が光を乱反射しているが、そこに水がつくと水の表面は表面張力で滑らかな表面となって、その水面がライトの光を光源と反対方向に全反射するため運転者の方向では暗く見えるんだろう。」ということを思いつく。しかしそのことに納得したからといって何も得することにはならない。大別すると世の中にはこのように考えても何の得にもならないことをつい考えてしまう人種と、始めから考えないで受入れてしまう人種の2通りがいる。仕事でもないことを考えても、それ自体は何の得にもならないが、しかし技術者にとって現象を見たらまず疑問に思い、それが納得できるまで考えるという習慣は大切である。考える習慣が付きさえすれば結果は自然についてくる。
 他人と同じ仕事をしながらも、つい「なぜこんな仕事を俺がしなければならないんだろう?何とか楽に出来ないものか?ああしてみたら?こうしてみたら?」と仕事をしながらも工夫のために頭を使ってしまう。仕事の度に「こんなことは何年も前から先輩が何回となくやって来たことだ。今更俺がいくら真面目に努力したって精々2割効率が上がればオンの字だ。でもやり方を工夫すれば能率は何倍も上げられる可能性がある。何とか改善できないだろうか。」等と考えることは、自然に出来る人には何の苦労もないが、他人に強制されたとしてもその場限りで長続きはしない。
 考えるにはモノに触れ、手と目で脳を刺激する。そうすれば問題解決へのインスピレーションが溢れてくる。新しい発想へのトリガーがかけられる。
 机上で図面を見ても、目を閉じて黙想したって、凡人の脳は強く刺激しなければ働かない。目だけで図面を見るより手でモノに触れば100倍の深さで思考サイクルが回る。
 凡人がホワイトボードの前に座っての検討会では、オチ・モレばかり。そんな計画に基づいて実験したら結論が出ないで前回打合せのオチ・モレに気づいたということの連続だ。データをとる人間がアタマを働かせて、いくつかデータが出たところで必要なら違う条件でデータをとってみる。やはり元通りのデータをとらなければならない事もあるが、凡人の机上の考えに基づいてそのままデータを取り続けたって無駄な場合が多い。

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