【Ⅰ】今、頭を使うことが苦手な若手技術者が増えている


ドキュメント履歴: 2003-07-xx 初回アップ

1.開発者は考える事が仕事・・・
    この当たり前すぎるほどのことが以外と盲点になっている

人間の考える作業だけが新しいモノを産み出す。
皆と同じ一通り一辺倒の思考だけしていては革新的な製品も技術も生れては来ない。斬新なアイデアとは決して偶然の産物ではなく、 誰にも強制されることのない ・ 自発的な ・ 苦しみを伴った ・ 深い ・ 思考の結果としてのみ与えられる果実である。

  水辺に曳かれた馬の例えを出すまでもなく、会社の机に8時間貼付けるだけで開発者の頭が回転するわけではない。まして特許出願件数のノルマが開発者の頭の潤滑剤になるとも思えない。 入社以降にもし思考能力向上の可能性があるとすれば、唯一思考訓練による思考習慣付けしか開発者の真の能力向上の可能性は有り得ない。
 つまり日常の仕事の中から顕在・非顕在に係わらず価値あるテーマを探し出せる注意力と、その設定したテーマに対して納得いくまで自然と頭がロジカルに回転してしまう習慣をつけることこそがその解決法である。誰に言われるでもなく、ただそこに山があるから登ってしまう登山家と同じで、ただそこに解決したいテーマがあるから 自然と考えてしまう。
 困難と恐怖に打ち勝って山の頂上に立って一回興奮を味わった人間は、もう山の虜になり、命を賭して次々と危険な山を目指すようになるが、己の想像が実体となって創造され、見た人を感動させた経験をした技術屋は、中毒患者のごとく新しい発想を繰り返す。
目の前に少しでも素材があれば、知的パズルを解くゲームのようについつい頭が働いてしまう。 そういう人間の頭脳の働きが価値あるアイデアを創出し、困難な技術課題を見事克服することができるのだと私は信じている。

 しかし現実はどうかといえば、理想とは裏腹に自分の脳ミソで考えない/アイデアのかけらも出さないばかりか、問題点が指摘されなければ気づかない技術屋が大勢を占めつつある。 または技術問題の解決局面において、マニュアル通りの検討は出来るが一歩教科書から外れた場面に直面すると為す術もなく立ちすくんでしまう技術者が増えている。

    では何故今 考えない技術者が増えているのか?
「君たちは仮初にも「技術屋」という考える職業を選んだのではないのか?」
 この疑問は常に私の頭の片隅にあり長い間の悩みだった。最近になってやっと少しその要因が整理できるようになってきた。ここではそれを色々な断面で切ってその切り口を斜視的に眺めながら考えてみようと思う。

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