【Ⅲ】 番外編 人材について


ドキュメント履歴: 2008-07-xx 初回アップ

Ⅲ-1.人剤/人材/人財/人在/人罪

 日経BPのページで菅原 泰男という人の書いた「超一流への挑戦~これがダントツ人材の基軸だ」 ( http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20080627/163845/ ) というコラムを読んだ。
 共鳴もし、「感ずるところ大いにあり」とも思ったので、一部内容を引用させてもらいながら私の考えを述べさせてもらう。
「人材は人剤なり」
これは、私が常々思っていたことで、「人は使い方次第で組織にとって毒にも 薬にもなる」という考えを基にした当て字なんだが、菅原氏は別に「人財、人在、人罪」という字を当てはめてうまくこれを分析していると思う。

 アウトプットを出さない ← 成果 → アウトプットを出す
最短距離思考型

思考パターン

全力疾走型
Type:Ⅲ 人在

神輿を見ている
Type:Ⅰ 人財

神輿に乗っている
Type:Ⅳ 人罪

神輿にぶら下がっている
Type:Ⅱ 人材

神輿を担いでいる

<菅原氏の「人剤」マトリクス>

最初に断っておくが、菅原氏もこのマトリクスを理解できるのは最短距離思考でアウトプットを出す[Ⅰ]型人間だけだと書いている。そのつもりで、この図が理解できなかったら、まず自分がどこに属すのか、どうすれば[Ⅰ]型になれるのかを考えた方がいい。
 とにかく、この図の言わんとしていることは、組織内で効率よくアウトプットを出そうと思ったら、メンバーの資質をよく分析して、プロジェクトを[Ⅰ]型人間に任せること、[Ⅱ][Ⅲ][Ⅳ]のそれぞれの人剤は、最終的には[Ⅰ]型になれるように仕込むこと、だそうだ。
 各型のもう少し具体的な説明は上記リンクのページで読んでもらうとして、ここで触れたいのは、菅原氏の説明する「存在することで組織の足を引っ張る」[Ⅳ]型人間 = 「人罪」という部分なんだが、私が思ったのは、[Ⅳ]型よりも[Ⅲ]型の方が罪は大きい=人罪であることが多い点。
 つまり、口だけが達者で「ああでもない、こうでもない」と壮大な計画だけをブチ上げて、結局はアウトプットがでないと分かるとさっさと逃げ出してしまう=機を見るに敏なるタイプがこれに当たる。[Ⅳ]型人間は周りから見ても一目瞭然のことが多いから、こうした人に大きなプロジェクトが任せられることはまずないが、[Ⅲ]型人間は口が達者で大風呂敷を広げやすい分、上の人間が口車に乗せられ騙されて任せてしまうと、他のメンバーの士気にも影響し場合によっては他社の信用も損なう結果になる。多くの場合、達者な口で失敗の責任を他者に転嫁してしまうので、自らが失敗によって学ぶことも少ない。セールスマンには適していると思うが、彼らは組織の中でもセールスが上手い。
 じゃあ、なぜ最初から[Ⅰ]型人間に任せられないのかと言うと、[Ⅰ]型人間の言うことは往々にして周りからは理解が得られづらいことがある。[Ⅲ]型のように無責任でもないから、リスクをきちんと把握して、それを回避する策も頭の中に描いているものの、その分[Ⅲ]型人間の裏付けのない言葉よりは歯切れが悪い。或いは[Ⅱ]型人間のように誰の目から見ても明らかな努力の様も窺えず飄々と結果を出すから、アウトプットを出す割に評価は低い。
 そして、[Ⅰ]型人間の独創的な考えが言葉で説明できるのか、言葉で説明して理解されるのか、というと現実には理解され難い。プロジェクトが大きくリスクが大きくなるほど、[Ⅰ]型人間以外から見ると「無謀な」判断をしているように見えてしまうからアウトプットが出る前にクビにされることも多い。特に、あるテーマについて誰も考えないような解決策を摂らなければ目標達成が出来ない場合、その解決策は、例え言葉で説明されてもそれを信じられる人は少ない。
 とりわけ上に立つ人間が現場たたき上げのガムシャラ[Ⅱ]型人間だったりすると、努力の臭いもさせずに仕事をこなしてしまい、説明も分かりづらい[Ⅰ]型人間に黙って任せることは至難の業だろう。もしこうした[Ⅰ]型人間が、組織の片隅で腐っているとしたら、それこそ宝の持ち腐れである。口下手な[Ⅰ]型人間の代わりに言葉巧みな[Ⅲ]型人間に経営資源を預けようものなら、もうそのプロジェクトの失敗=会社の将来は決まったも同然だ。「良薬口に苦し、忠言耳に逆らう」であって、セールスマンの甘い言葉には注意が必要だ。
 本当の問題は、そうした[Ⅰ]型人間[Ⅲ]型人間の本質を見抜けない、その上の人間に問題があるのであって、プロジェクトマネージャを選任する立場の人間こそ、このマトリクスをよく理解し、成功体験と失敗をバネにより多くの人間を[Ⅰ]型人間に育てることが必要になると思う。


以上、誰からも 期待はもとより信頼されずに新事業のスタートダッシュを任され、<既存事業に対して新規事業は資源も少ないがリスクもない=冒険しなければアウトプットが出ない>と居直って、結果 年間売上 ウン千億円の事業の基盤となるプロジェクトを大成功に導き、その事業に付加して更に ウン百億円の事業をわずか 2人で実現した、それでも評価はされず、その間 幾度と無く [Ⅲ]型人間に足を引っ張られた経験を持つ者のゴマメの歯ぎしりです。

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