| -717- 王様は裸だ! |
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つい最近、イタリアで地震予知委員会のメンバーが、余震が続く中大地震が起きる確率は低いと発表した直後に大地震が起きて、結果的に避難を中止した人たち 300人以上が死亡した責任を問われて、禁固7年の実刑判決を受けたというニュースがあった。 そして日本ではちょうど朝日新聞夕刊で「大地に聞く」という連載が始まり、昨日、今日と地震学者の「反省の弁」が載っている。 イタリアの件で大方の意見は、予知の外れで法的な責任を問われるなら今後予知なんてできない、というものらしい。・・・しかし、である。そう言い逃れする「専門家」は本当に現在の状況で政府や国民が望んでいるレベルで「予知」が出来ると考えているのだろうか。とてもそうとは思えない。例え明日であろうと1年後であろうと、この辺りで地震が起きる/起きない、という判断がつかないのに、確率などというまやかしでさもそれらしい情報を出すとしたら、それ自体が問題だ。だから、彼らに出来ることはだた一つ、「(皆さんの期待するような)予知なんて出来ません。今までそれらしいことを言ってきたのは間違いでした。」と謝ることしか無い。 事実、上記朝日の記事の中では、東北大の松澤教授も 3.11の2日前に起きた三陸沖の M7.3の地震に際して「予測した領域で一定規模の地震が起きたので、宮城県沖の大地震は可能性が低くなった」とコメントしたというが、皮肉なことにその翌日に例の M9.0の巨大地震が起きてしまい、学者の思い上がりを戒めている。同教授は間違いを認めて「潔い」とも評価できるが、世間的に見てこれだけの間違いをしておいて、まだその職に留まれるというのは、やはり学者村は生温くいいところだなぁと思ってしまう。 私は地震学者でもなんでもないので自由なことが言えるが、かねてから今のような方法とレベルでは地震予知なんて出来るわけないのに、と思っていた。理由は単純明快で、地下何十Kmという深部の岩盤という構造物に力が加わった時、その岩盤が力に耐え切れず崩壊を始めるという臨界点が地震になるが、地形の変化などをcm単位で正確に測定できる陸地でさえ、深部の岩盤の構成、それぞれの岩盤に加わっている力、その方向と言った計算に必要なデータはほとんど無いに等しい。ましてや日本海溝などの 水深数Kmの更にその下、数十Kmの岩盤の構造や、今現在受けている力のデータなんて全く無いに等しい。何点かでボーリングしたりして調査はしているんだろうけど、そんなのは例えれば巨大な艦船全体に複雑に加わる波の力による影響を、ごく表面に近い部分的な構造図と数カ所の点の変位データだけ測定して風速何mの嵐で船全体が折損するかしないかと判断しようとしているようなもの。しかも最大のハンディは理論が出来たとしてそれを実証確認する実験が出来ないということ。造船の構造解析の専門家なら、そんな少ないデータでオマケに実験もしないで結果を予測するなんて到底無理だ、とすぐに白旗を上げるだろう。 現代の科学技術の進歩のかなりの部分は、コンピュータの計算能力の進歩によるシミュレーションの力によるところが大きい。しかし、コンピュータの計算はあくまで計算であって、それを実際の現象との間で整合しフィードバックするための実験が行われ、実験結果と計算結果を整合するための測定システムが確立していないとどうしようもない。地震予知の領域でこの実験と測定は不可能または皆無に等しい。したがって技術の進歩は遅々としている。岡目的にはどう見ても白旗を上げるべき状況だが、多分白旗を上げた途端学会村からは村八分にされて、その反対に自分でも分かりもしないことを堂々としかつめらしく分析してみせる厚顔の輩だけが生き残るのが地震予知村らしい。 話を地震に戻して、岩盤全体で耐えてきた歪によってその一部がまず崩壊をはじめる臨界点に達して崩壊し始め、それが連鎖的に周りの岩盤の崩壊を引き起こすという雪崩降伏的な現象を、そんな現状では例え数十年の精度にしろ予知できるとはとても信じられない。プレート境界では何百Kmにもわたって大きな力を受けているというから、そのどこが最初に耐え切れなくなるのか、そしてそれが何時で崩壊の範囲はどれくらいなのかなんて分かるわけがないと思うのだが。 現在の科学技術力では、前述のシミュレーションのお陰で鉄やコンクリートなど組成や素材特性がはっきりしている構造物で、外部から加わる力が正確に測定できる場合なら、毎分 何Kgずつ重りを増やしていったら何分後に破断する/折損するというような計算はかなり正確に出来る。しかし、地球のプレートのように、ずれていることはわかるが、部分部分の正確な力の分布のデータがない状態で、しかも岩盤という均一質ではない複雑な構成の構造物の場合、例え 100年単位でも「予知」なんて夢のまた夢だろうと思っている。 それを、「地球物理学」などともっともらしく体系化してしまった。「プレートテクトニクス」という概念が生まれてマクロ的にはそれで説明できるとは言え、地震はそのうちの一つの現象にすぎず極めてミクロ的な問題であって、過去の現象の説明には使えてもこれからどこで何時起きるのかという予知に使うにはまだまだ不十分だ。なのに学会や大学の講座を作ってそれらしくブチ上げて、そしてその専門家と自他共に認めてしまった。地震国日本においては雷よりも怖い地震がいつ起きるのか知りたいという皆の願いで、国の地震予知や防災などの組織が出来て税金も使ってしまったものだから、今更「分かりません」とは言えなくなってしまった。なにより「学会」だからボスの言ってしまったことはひっくり返せない。本当は「起きることは確実だが、今すぐか 何百年後かは分かりません。規模は地質学的に起きたとされる最大規模までの地震が起きる可能性があります。」と分かっているのに、そんな言い方したら「税金返せ、それじゃ普通の人と同じじゃないか」なんて言われてしまう。その前にボスから村八分にされる。仕方ないので「10年以内に起きる確率は 30%」なんてもっともらしく数値で言っているけど、実は確率なんて、何回も繰り返される時に初めて意味を持つもので、人の一生の中で一度起きるかどうか分からない(=100% or 0%)ことに使ったところで何の価値もない、ということを言いたくない人たちなんだろう。 これって、王様が裸という事を皆が知りながら(実は王様自身も自分の目では裸ということが見えていながら)、誰も「王様は裸だ」と言えなくなった童話と同じじゃないか? 写真は、全く関係ないが 並木を歩いている時にちょっと気になる実があった。花の色といい、実の形といい「ボケ」に似ているけど今頃花が咲くんだろうか。携帯カメラで撮っているので、実の方は朝の陽の光で飛んでしまって色がわからないが若干黄色味がかった薄緑色だった。 |
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2012/11/01 |