| -472- パズル・パレス |
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ダン・ブラウンの標題の処女作小説を読み終わった。暫く前に本屋に立ち寄った際に並んでいるのに気付き上下巻を購入。電車に乗るたびに読んでいたが、下に記したように、帰飯の高速バスに乗ったので、残りを読もうと荷物に入れておいた。下巻の半分以上が残っていたので、片道くらいは持つだろうと思ったが、往路の途中で読み終えてしまってあとは退屈した。 ダン・ブラウンのミステリーは、これで4巻目? どれも殆ど仕立てが一緒。良い男と女が主人公で女性の窮地を男が救ってハッピーエンド。というとイマイチな感じがすると思うが、まぁこれはこれで何点か特筆すべき点があった。 その一つは、1998年に出版された本書がその後公になった国家による通信傍受システム ECHELONをテーマにしているということ。国家と言うそれ自身一つの生き物はしかし、己を構成する個々の細胞が時として本体の生存を脅かす「癌細胞」的な増殖をし始めると、自らの命を守るために一部細胞を殺してでも生き残ろうとする生存活動をするということがバックにある点。癌細胞やそれを攻撃する白血球などの生命維持システムとの反応は、組織やその組織に属する人間とオーバーラップさせて考えると意味深で面白い。 もうひとつは、暗号化システム自身を暗号化したパスワードを記録した指輪に彫られた文字列。最後の方で明かされるその文字列が意味するところは「誰が番人を監視するのか」。今日本で問題になっている検察による FDの日付書換え事件が当にこれにあたる。絶大な権力の番人が悪に走った時、それを監視する人間がいないととんでもないことになると言う作者の警告のように聞こえてきて、あまりのタイミングの良さに思わず唸ってしまった。 もうひとつ、この小説には二人の日本人が登場する。その二人とも名前が日本人としては何となくしっくりこない。そんな名前、漢字じゃ書けないよと思ってしまう。 その内の一人、通信監視を行う国家安全保障局に対して挑戦状を突き付ける日本人エンジニアが「エンセイ・タンカド」というんだが、この名前は最初からどうもしっくり来なかった。それが最後の方でノースダコタという協力者のハンドルネームとの関係で「な~んだ」という感じで解き明かされるんだが、N.Dakotaという名前をもう少しひねってもらえば、日本人にも違和感なく読めるミステリーになった気がする。(詳細はこれから読む人の楽しみを奪わないために明かさないが) 写真は、小説とは何の関係もないが、たまたま帰飯の時に予約の高速バスの乗車時間にぎりぎりだったため、安全を見てロマンスカーに乗った際に、指定券を見てびっくり。 10.10.10 とゾロ目の日付。しかも 座席は 10D。縁起担ぎではないが何となく指定券が手放せずに読み終えた本の間に挟んでおいたもの。 |
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2010/10/13 |