-2186- シェーバー故障 |
ここにも書いた Hitachiのロータリーシェーバーが再び故障した。リンク先のページに載せた動画のように内刃の回転が止まってしまう。最初はちょっと長い髭を噛み込むとその負荷で止まっているようだったが、2~3日で全く回転しなくなった。外刃を外してちょっと内刃に触っただけでも回転が止まる。 前回の故障は保証期間内だったのでサービスステーションに出したが、今回はもう保証期間を過ぎていたし 現役時代のメカトロの不具合解析経験からこんなに同じ現象で故障するのは明らかな不具合原因があるハズとの読みで修理に出さないで、興味津々で分解してみた。 結果、分かったことは モーターから内刃への動力伝達はギヤ列かと思っていたら、何とタイミングベルトだった。しかもこのベルトが信じられないくらい細い。ノギスで測ると幅は 1mmしかない! こんな細いベルトで結構な径の内刃(=大きな負荷)を回すんだから おそらくベルトが伸びて歯車の歯に噛み合わなくなったんだろうと思ったが、どうも違う。ギヤ(タイミングプーリー)などの抑えの金属板の部品を外してタイミングベルトを取り出して見ると、何と下の写真のように一部の「歯」が半分欠けている。更に見ると、タイミングベルトと噛み合うプーリーには片方しかフランジがない(モーター側駆動輪と内刃側の両方のプーリー共)。フランジのない方のハズレ防止はギヤの取付部の壁になっているようだ。更に悪いことにそれらの2つのプーリーは一つの板状の抑え板で抑えられているが、その押さえ板は中央付近の1箇所でビス止めされている。つまり押さえ板は2つの回転するプーリーの側面をかなりの力で押さざるを得ないからそこでも大きな摩擦が発生する。そしてほんの僅かでも2つのプーリーの抑えの力のバランスが崩れれば受ける壁との間に隙間が生じてしまう。 メカ設計者ではない私でも、こうした機構ではタイミングベルトは回転しない壁と接触するので負荷が増えたり、すり減ったり 万が一抑えのバランスが悪かったり弱いとギヤが浮いてしまって壁との間に隙間が出来てしまう。そしてこのタイミングベルトの幅が 1mmしかないので、ほんの僅かでもギヤと壁との隙間が開けばタイミングベルトの「歯」はその隙間に逃げようとして異常な力が加わるから欠けやすくなるだろう、程度のことは想像がつく。おそらくは基本設計のスペース配分を誤ったまま製品化してしまったんだろう。試作で数台が動いたことで過負荷試験や長期ランニングテストなどの品質確認をおろそかにしたまま生産に走ってしまったことが窺われる。結構な容量のLi電池が使われているにも関わらず充電の持ちは 4回程度と短かったりして、設計に問題ありそうだとは分解前からある程度予想していたが、ここまで酷い欠陥設計だったとは・・・「何ていう設計だ!」と思わず毒づいた。 しかし毒づいたところで修理は進まない。こんな部品はすぐには入手出来ないので、試しにタイミングベルトの向きを逆にして、押さえ板の曲げを若干増やすようにペンチで曲げ修正してから組み立ててみた。結果、とりあえず回転するようになって 今日は仕上げ剃りだけなら何とか使えた。まぁ2~3回使えるかどうか? さて、こんなタイミングベルト どこかで入手できるだろうか? 今日の写真はマンションの中庭で見つけたエゴノキ。もう実がついている。子供の頃は「ジシャの木」と呼んでいたような気がする。 |
2021/06/16 |