| -1603- また続き |
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昨日の続きで。 話は若干前後・重複するが、1年後に生産開始して何万台を作るとぶち上げた途端、大方の人が猛反対するか途方に暮れた。少なくともそんなものを大量生産しようとすれば、2年いや3年必要だ、仮にできたとしてどれだけ売れるんだ・・・と百家争鳴の騒ぎになった。最初は私も正直、内心では途方に暮れた方だった。だからこの時点では、私は自分のことを「白紙に絵が描ける」人間とは思っていなかったことになる。 でも、それまでのビデオカメラや一部業務用デジタルカメラの画素数がせいぜい40万画素前後でプリントは見られるレベルではなかったのに対して100万画素相当のデジカメをシュミレーションしたサービスサイズプリントを見て「これなら売れる」と確信した。幸いにしてパソコンには通じていたので、デジタルカメラでこのデータが撮れれば即パソコンとインクジェットプリンターでプリントアウトできる。実は思い出は新鮮なほど人は感激する・・・長いフィルムカメラの経験から、そしてポラロイドカメラを横目で見ていた経験からそう直感していた。 問題は価格だったが、他社からもこの人ありと知られた営業出身の当時のリーダーの「カメラというのは良い商品が10万円なら20万台は十分売れる市場だ」と言う言葉を信じた。市場価格10万円なら原価は5万円強だから重要パーツの積み上げ原価では十分射程に入る。 しかし、そこからが本当に大変。 既存事業ならテーマが決まるということは、開発部隊も生産場所も決まり、生産~発売に向けての基本日程や各種会議・社外向け発表の段取りも雛形に沿ってほぼ決まるが、新事業で誰も経験のない製品なのに既存事業の商品テーマの半分以下の日程にも関わらず、その時点では引き受ける予定の開発部隊も生産工場もなく、誰も生産したことがない製品だけに参考になる情報も皆無に等しかった。 頼れるのは営業経験が主な担当取締役の上司とこれも営業出身の喧嘩も厭わないリーダーの部長、そして私と共に既存のカメラ開発から移動してきた(多分!)互いに胸襟を開ける男と、後は社長の「1年で商品化しろ。ウチがデジタルカメラでプレゼンスを示すには2番手ではダメだ」という一言だけ。 反対ばかりでアテにならない社内の開発・製造を説得するのは早々に諦めて、もっぱら社外で協力してもらえる会社をリーダーと2人で当たり、白羽の矢を立てたS社に足繁く通って動画がら軸足を移したがらないS社トップに静止画の魅力や市場の広さを訴えて3ヶ月かけてやっと協力を取り付けた。運良くその打ち合わせ開始時にはキーパーツである量産対応のCCDの画素数は40万画素相当しか無く 実は我々の話は画餅でしか無かったのに、打ち合わせを重ねるうちにちょど半年後に生産開始されるという総画素数80万画素超のCCDの情報が先方からもたらされて、それが計画スタートを決定づけた。 それでも社内の状況は変わらない。S社との開発分担では静止画で経験のあるレンズと外装、そしてストロボに関しては自社で開発を引き受ける事になったが、それらの開発担当者がその時点では誰もいなかった。 今考えれば、あの状況は「白紙」に絵を描こうにもその「白紙」すら無いと言うに等しい状況だった。 今回も続きは後日 写真はクリンソウだと思う。昨日の写真と同じ神社の隣接の公園にひときわ鮮やかに咲いていた。 |
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2016/05/16 |