e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、主に私が読んだ「本」やその内容に関連した記事です。
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-307- 古代ユダヤ人の末裔
= 今日は画像なし m(_ _)m =
朝日新聞の昨日の夕刊に興味深い本の紹介があった。
それはテルアビブ大のシュロモ・サンド教授という人が書いた「ユダヤ人はいつ、どうやって発明されたか」という現代「ユダヤ人」の出自に関する本の紹介記事で、古代ユダヤ人の末裔は実はイスラエルが入植地から排斥しようとしている他ならぬパレスチナ人だという内容らしく、このことはイスラエル建国の父と呼ばれる初代首相ベングリオンらも書いていたという。
このe日記でも過去何度か、中東の歴史に根ざしたその手の小説を読むたびこの地域の紛争や歴史に触れてきたのでつい目が止まった。曰く、現在「ユダヤ人」と呼ばれている人たちはむしろ世界に広まったユダヤ教に後から改宗した人々であり、その人々の唯一の共通点は「ユダヤ教を信仰していること」でしかなく、民族としての本来の「古代ユダヤ人」の末裔はむしろ現在のパレスチナ人だという。この地の古代ユダヤ人は紀元2世紀までにローマ帝国に征服されて追放され流浪の民となったと言われており、その通説がシオニズム運動などの根拠となっているが、多くの農民はこの地に留まってキリスト教やイスラム教に改宗し現在のパレスチナ人の祖先となったというもの。いつの世も、征服されて追われるのは権力者とそれに取り入る一部の商工業者達であり、食料を生産する多くの農民たちは宗教を禁じられ税を搾り取られて虐げられようとも先祖伝来の地にしがみついて生きていくものである、という日本人的発想からするとこの説には大いに納得がいく。と同時に、このような本が発売されて、しかも当のイスラエルでベストセラーになるということはユダヤ教というのは、イスラム教と比べるとはるかに懐の深い宗教なんだなと感心した。
ついでに Webで検索すると、この記事をトリガーにしてこの問題に関して述べているいくつかの情報が集められた。たとえばスロー人・ロハスの6月1日のブログでは、ユダヤ人には大別して2つの人種(スラファディ・ユダヤとアシュケナジー・ユダヤ)があり、前者は地中海周辺の南欧や北アフリカに住んでいる人々で人種的には褐色の肌でアラブ系に近く、他方一般的にユダヤ人として呼ばれるかぎ鼻の白色人種でヒトラーが迫害したことで後者が自他共に「ユダヤ人」としての認識を作ってしまったというもの。さらにこの白色系ユダヤ人は実は、紛争の坩堝であったトルコ系のカザール帝国が侵略をかわす為に戦略的に国を挙げてユダヤ教に改宗しつつも、征服されて空しく故郷を追われた人々の末裔であると示唆している。
科学的にはダン・ブラウンの「天使と悪魔」で言うところの「人間を切り刻んでDNAに分解する」ことにより多くのイスラエル人の祖先がどこから来たのか、そしてもしかして「キリストの遺骸」(R.B.サビア著)ではないにしろ、古代ユダヤ人の墓でも発掘され(厳格なユダヤ教は墓を暴くことは絶対タブーらしいが)その中から有効なDNAが採取されればそれとの照合によりある程度この問題は明らかになるのだろうが、平和ボケした日本に生まれ育った私としては、民族出自の事の真偽はともかく事ここに至った以上、一人の人間はもとより家族や部族をその「血」の組成で分割するわけにはいかないし、同じ地域に暮らす人々が人種や宗教の垣根を越えて仲良く暮らすしかないだろうと思うのだが、いつの時代も政治的な思惑はそれを許さないのだろう。
と書きつつ、また この本とカザール帝国に関する本が読んでみたくなってきた。

2008/06/01