-1872- 自由 |
暫く前から読んでいる「満州国演義」の4巻目に興味深い会話があった。関東軍特務機関の協力者 綿貫昭之と言う男と、主人公敷島四兄弟の次男で誰にも縛られることのない「柳条の如き」生き方を選んだ馬賊の頭目 次郎とのやり取りだ。 昭之曰く「自由というものはある意味厄介なものだ。実に扱いにくく、その上重い。自由よりずっと心地良い境地・・・・・それは国家への隷属ですよ。孤独でしょう。自由は? しかも誰からも赦されることがない。みずからすらからも。国家に隷属しさえすればすべてが赦されるんです、どんな残酷な犯罪も、一度、天皇陛下万歳と叫んでご覧なさい。あらゆることが一瞬にして救済されます」 我々の世代は恐らく、国家への隷属や「天皇陛下万歳」と叫んだことはないだろうけど、ふと思った。会社などの組織や特定の個人への盲従は同じようなものだろう。自分を貫くことは大変で孤独だが、盲従することでそこから解放され、楽になれたように錯覚する。そのまま目を瞑っていられればそれで良いとも言えるが。 時まさしく証人喚問の映像を見つつそんなことを思った。 今日の写真は秋に刈り取った草むらの隅っこに残っていた茨のツルに早くも開花したカジイチゴ?だろうか。 |
2017/03/20 |