履歴: 2020/12/30 初回アップ
前置き
2年ほど前に購入した PC工房のデスクトップ機が Sleepモードに入る際に完全に Sleep出来ずに、ディスプレイが消えてキーボードやマウスの入力を受け付けないのに、HDDは回り続けてアクセスランプも不定期で点滅しているという いわゆる「ハングアップ」状態になるようになった。
キーボード入力を受け付けないのでその状態を抜けるには 電源ボタンを長押ししてシャットダウンするしかない。アプリによっては作業途中のファイルが保存できず遺失してしまうと言う困った状態。
発生頻度は毎回必ずと言うわけではないが、一旦発生し始めるとほぼ毎回発生し「電源とスリープ」の設定をあれこれ変更してみると一旦は治るんだが、またいつの間にか発生するようになる。
最初に気がついたのは今年の 8月ころで、「電源とスリープ」の設定や USBなどのドライバーのアップデートも試したが効果はなさそう。1年ほど前の O/Sパーティションのドライブイメージでリカバリーしたら、その時は改善したものの1~2週間でまた発生してしまう。Windows Updateが関連している?とも思うが、Auto updateを止めてもほぼ同じ。
あとは 「BIOS Updateしかない」と思って UEFI設定を見ると 何と! BIOS Updateのタブがない! 購入元の PC工房のサポートにメールすると「BIOS Updateは出来ません。購入時の状態にリカバリーしても不具合が確認できる場合のみ修理対象です。」と言う驚愕の回答。
仕様書に「BIOS Update非対応」となっていたかどうかは確認しなかったが、それで商売しているなら いくらゴネたところで「更新 BIOS」を PC工房から入手することは絶望的だ と諦めた。
- ダメ元で Windowsから Updateツールを試してみた
20年くらい前に PCを組み立てていた頃は必要もないのにマザボメーカーのHPをチェックして BIOS更新情報があると律儀に Updateしていたが、その後 マザボの品質もアップし Windows O/Sも信頼性が向上したのか その必要性を感じなかった。
その間 BIOSはレガシーBIOSから UEFIに変わり、ブートドライブの形式も MBRから GPTに変わるなどして、BIOSへの関心もなくなって ちょっと疎遠になってしまった。
それでも頭の片隅に「最近は BIOS設定画面からでなく Windowsから BIOS更新が出来たはずだが?」と言う知識があって、確認すると AMIなどの BIOSベンダーが汎用の Windows版 BIOS更新ツールを公開している事がわかった。
幸いにして PC工房購入の 件の PCの UEFI画面を確認すると BIOSベンダーは AMIだと分かった。AMI BIOSはメジャーな BIOSで BIOSアップデート/編集の情報が多い。
この ツールを使えば もしかして UEFI設定画面に BIOSアップデートメニューのない PC工房のマザボの BIOSも Update出来るかも?
と言う一縷の望みを抱いて マザボを確認すると シルク印刷は 「ASRock B360M」となっているので ASRock の HPで確認すると B360M-HDV と言うマザボが写真ではほぼ同じ部品レイアウトだった。
そこでダメ元で この マザボの最新 BIOSをダウンロードしてみた。
更に AMI社の HPなどから 汎用の BIOS更新ツールをダウンロードして Windows上から実行してみると 現状のマザボ上の BIOSらしきものを HDDに読み出すことが出来たが、ASRockからダウンロートした BIOSとはサイズが違う。
当然、ASRock の Webからダウンロードした BIOSファイルを書き込みしようとしても「形式が違う」とケラれて、ファイルサイズをファイル後端から等しい位置でかつブロックの切れ目らしい部分でトリミングしてみたが、「レイアウトが違う」とケラれてしまった。
この時点でやはり無手勝流では不可能と断念。
- SPI Writer 購入
実は 大昔、1980年代に NVRAM(不揮発性RAM)のプロセスが実用化されたとき、その情報に飛びついて仕様を提示してカスタム開発し真っ先に製品(その時はフィルムカメラ)搭載したのは私なんだが、その甲斐あって 今でも シリアル EPROMがどんなものかという概念だけは理解している。
で、そこから類推するに BIOSを記憶させている シリアルEPROMはシリアル通信ラインさえ分かれば、そこから直接読み書き出来るはず。初期の BIOSチップは DIP-8 Pinのパッケージで抜き挿し出来た記憶があるが、問題の ASRock のマザボに搭載されているチップは SOP-8 と呼ばれるハンダ直付けで取り外しは困難だと判明。
しかし 上記の B360M-HDV と言うマザボの写真を見ると、BIOSチップの近傍に 何やら BIOS_PH1と印刷された 10Pin程度のピンヘッダーがある。もしや?と思って検索すると、少なくとも ASUSのマザボにはサービス対応用に シリアルラインが Pin接続出来て、そこに SPI Writerと言う EPROMの読み書きツールを繋げば BIOSの読み書きが出来ると分かった。
しかも SPI Writerは ネット通販で 1000円程度で購入可能だった。
そう分かってしまえば、私の性格ではもう買うしかない。 という事で、問題の PC工房ブランドの BIOS書き換え記事は見つからないままに Amazonで送料込み 900円弱の SPI Writer(CH341A)を発注し入手した。
ただし、安価な CH341Aには ドライバーや読み書きのツール・ソフトは付属してこない(説明書や保証書も当然ない)。
勝手に Webで検索してダウンロードしろという姿勢で、いかにもマニアのツールという感じだ。
注意しなければならないのは、こうしたマニアックなツールを検索してダウンロードしようとするとウィルス感染したり、危険なサイトに誘導される可能性が高いので セキュリティ対策は必須だ。
特に CH341A 関連のツールは中国語サイトが多く、Googleなどの安全性アイコンを頼りにするのが吉。
更に念を入れて ダウンロードしたり、解凍して動作させる時は USBメモリなどから起動できる LINUXなどの別 O/S上で行うか、作業前に O/Sパーティションのイメージを保存しておいて 作業完了後にそのイメージで書き戻せば万が一 Virus感染しても回復が可能なので万全だ。
後先になったが、買ってから 上記の PH1 Pinヘッダーと SOP-8 ICの足の導通をテスターでチェックしてみたら右図の通りになった。この図を参考に CH341A のソケットと マザボの対応コネクタピンを接続する。
(ただし実際のマザボの回路は VDD(High)に接続された Pinがあるので導通テストではそれらの区別はつかない。
CH341A のソケットの両側には 14本の ピンがあってソケットのピンと対応しているのでこのピンを使ってもいいが結局 Vddピンなどが足りなかったりで、私は下の 図-3 の写真の通り ICソケットにジャンパーのピンを差し込んで接続した。)
このピンの対応で、CH341Aと B360M の PH1 ピンヘッダーを接続したのが 右図。
(ASRock のシルク印刷の「A」の文字の下に見える SOP-8 パッケージの ICが BIOSを Saveしてある EPROM。PC工房のマザボでは表面に BIOSバージョン?(P1.10)のラベルが貼ってあった。)
この状態で CH341A用の Read/Writeツールを使ってみると、どうやらフルサイズの BIOSがダウンロード(バックアップ)出来た様子。ファイル・サイズは 16MBになるし Binary Editorで見る限り UEFI BIOS全体がダウンロードできている様子。
一旦現状の BIOSがバックアップ出来たら、仮に不正な BIOSをアップロードして起動しなくなっても 再度 元の BIOSをアップロードし直せば少なくとも現状にはリカバリー出来るので BIOSファイルをいじり倒せる。
ということで、本格的に BIOS編集に取り掛かることに。
(但し、一旦 BIOSを書き換えたら メーカー保証は受けられなくなるのでそのつもりで)