0. HDD クラッシュ保険の話      : 何事も事前の備えが肝心

この資料は、事が起きてから読んでも意味がありません。まずは 私に5分ほど時間を下さい。そしてこの資料に目を通して、HDDのバックアップの重要性について理解してください。少なくとも次のページの「O/Sパーティションのバックアップ」だけは読んで実行してください。そうすればイザと言う時でも最小限の被害(復旧時間)で済みます。

 最近、業務用PCのHDD(特に O/Sパーティション)がクラッシュして、O/Sの再インストールが必要になったという話を周りで頻繁に耳にします。殊に最近の Windows O/Sを会社のLAN環境で使用する場合は、電源投入後に Windows O/Sに続いて各種の常駐サービスなどが読み込まれて一般のアプリケーションが使えるようになるまでには、それからほとんど天文学的な気の遠くなるような手順を踏んでおり、それらの手順の中のデータの一つでも狂った場合は立ち上がらなくなるばかりか、場合によっては世の中に 2つとない大事な自分だけのデータを逸失してしまうという危険性をはらんでいます。 殊に、非標準 PCの場合インストールしたいアプリやドライバは必然的に例外処理の固まりのようなものでしょうし、逆に ネットワーク管理部門からインストールを指定されるセキュリティ用ソフトは常駐して監視するサービスのたぐいが多いと思われますので、それらはお互いに相性が良いとは思えません。それらがほんの僅かでも例外的な動作をしてお互いの処理がぶつかった場合の挙動は誰にも想定できず、そうした場合の 1%でもWindowsの起動に係わる HDD領域への変更が発生したらもう起動が出来なくなってしまいます。
 一旦 HDDがクラッシュしてしまうと、購入時のリカバリディスクで O/Sだけを再インストールしたとしても購入時の状態にしか戻りませんので、それから延々とその後インストールしたアプリケーションも再インストールし、直前に使用していた環境に戻すためには短くても最低1日は必要です。最悪、リカバリーデータがCDで添付されておらず HDDに記録されているような場合で、CD-Rなどへの保存作業をしていなかった場合は、購入時の状態に戻すだけでもメーカー返送しか手がありませんから 1週間以上かかって、更にその後自分の環境の設定をしないといけないという気の遠くなるような作業が必要になります。
 Windows O/Sの最大の弱点は、こうした危険性を回避するための手段をほとんどと言っていいくらい提供していないことで(*1)、この回避手段はユーザーが個々に自分の責任で準備することが必要で、 「自分のデータや時間が大切なら、自分で責任持って保険を掛けなさい」 というのが暗黙の了解としてまかり通っているようですが、残念ながらその保険の方法は一部マニアの間にだけしか知られておらず、あまり普及していないようです。
 普通の会社でも、標準PCは ネットワーク管理部門がある程度までは復旧してくれるようですが、非標準 PCとなると自己責任で保険が掛けられる人だけが使うモノと定義されているかのように、全く救いの手はさしのべられていません。非標準 PCであっても「非承認」PCではありませんから、個々の設定に係わらない何らかの共通手法は標準として ネットワーク管理部門から示されてもいいのではないかと思いますが、そんなことを言っていても クラッシュの憂き目にあう人が増えるだけですから、 ここでは特に 非標準 PCについて、O/Sクラッシュの場合に被害を最小限にとどめるための方法を述べてみたいと思います。
<但し、この方法は私が経験的に学んできたものであって、最善の方法であることも、問題が全くないと言うことを保証するものでもありません。もっと良い方法、問題点に気付いた人がいたらそれを指摘していただいて、より良い方法を共有化していくためのトリガーになればと思っています>

バックアップ以外にも、普段からPCを大事に使うことは大切です。
例えば、Note PCを移動させたり鞄に入れたりするときにLCDディスプレイを閉じてもすぐにはHDDはスタンバイしません。むしろスタンバイ動作のためにHDDへのアクセスは一時的に増えていますし、私の経験でも何度かスタンバイに移行できずHDDが回りっぱなしと言うことも経験しました。机に置きっぱなしで家に帰るとき、自動でスタンバイになるからと言ってそのまま放置しないで、シャットダウンをしてから帰るようにするのとしないのでは信頼性上大きく違ってきます(もちろんセキュリティ上も問題ありますが)。スタンバイになるまでの数十分という時間よりも、接続してある周辺機器やそれまで立ち上げていたアプリの中には、スタンバイ動作時に時々思わぬ挙動をするものもあります。スタンバイなどにより終了される処理の順番がちょっと狂ったことで応答が無くなって電源が切れないばかりか異常な動作継続的にが行われる、その結果普段は大丈夫だったのに、何故か突然立ち上がらなくなる・・・というケースは意外とスタンバイ時やシャットダウンの仕方によっているような気がします。サプライヤーも、起動して通常処理が設計通り行えるかは綿密にチェックするでしょうが、終了して電源が切れるというところまではそれほど手が回っていないようです。

*1 : 商品というモノは、Windows に限らず、自分が壊れたときの復旧策を準備しているモノはほとんどありません。そんな準備をしなくてはならないモノは最初から商品にならない、そんな準備をするくらいならそうならないようにしておく、というのが商品の常識だからでしょう。Windows の問題は「本当は準備が必要なくらいの頻度で壊れるのに、商品としてまかり通ってしまっている。しかもそこで扱われるデータは趣味の範囲から場合によっては、企業や個人の命運を左右しかねないほど重要なものまで広範に及ぶ」というところにあると思いませんか?

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