e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、政治や思想・社会問題に対する勝手な私見を書いてみました。専門家ではありませんが、岡目八目という言葉もある通り、時には本筋を突いていることもあるかも?
Access Counter:  総アクセス数

楽 天 の 商 品

-901- 自分を知ること
前回、この下では、組織の中での自分の立ち位置の決め方のようなことを書いた。自分の立ち位置を決めるには、まず自分を理解すること、他人と自分の違いを知ることが必要だろう。それを知るには、客観的に自分を見るしか無い。色々な特性を持った人間で構成された社会で生きていくには「客観性」が不可欠だと思うが、どうやらそれを持ち合わせない、若しくは忘れてしまっているのにそれなりの立場に立ってしまう人がいる。そうした人に、それまでとは違った状況が起きると「当たり前」の判断ができずに問題を起こすようだ。
技術者とは仕事の非常に多くの部分でとりわけこの客観性が要求される仕事だと思っているが、時々、技術を生業としている人であっても自分自身や周りの人を己の立場からだけしか、主観的にしか見れない人がいる。他人がどういう背景や考えから今の行動、主張をしているのかということを考えられない人だ。こうした人は観察力か想像力に欠けているんだろうと思っている。そうした人は概ね仕事の場合であっても、目の前の事象を観察し、その事象が起きる原因や要因の分析は通り一辺倒で自分の都合いいようにしか理解しない傾向が強く、マニュアルが好きな人達だ。
私は取り立てて人間観察が得意とは思っていないが、自分の行動や思考に関しては「何故こんなことをしたのか? 何故こうしたいのか? こうしたら結果はどうなるのか?」と考えてしまう。昔はそれが普通で、10人が10人そう考えるだろうと思っていたが、どうやらそうではなく、むしろ少数派らしい。それくらいは人間観察もしている。
その結果かも知れないが、自己分析のうちの一つとして以下の様な結論に達している。
私は毎日同じことを正確に繰り返すことは本当に苦手だ。新しいことに取り組むのが好きで 2度め 3度めになるとどうしても気持ちが緩み、他の「楽しい」ことを考えだす。そして、そちらに気が行ってしまう。だから本来の仕事にポカミスが出る。結局、繰り返しの仕事は、他の人のほうがずっと適しているという判断になる。
しかし、一点突破で集中したときは 多分他の人では怖気づいてしまう、或いは考えもしないようなことも割合平気でできる楽天家だと思っている。
仕事をしてきた中では「どうしてそんなことするんだ。無謀だ。もっとまともなやり方でやるべきだ。」というような忠告、批判は何度となく受けた。しかし、自分の中では多分その人達が思い描かない道筋が見えており、絶対とまでは言わないまでも、かなりの確率でその人たちの「無謀」が私には「チャレンジャブル」な目標くらいには見える。それが見えてしまうと「何時やるの? 別の人に先を越されるくらいなら、今でしょ!」と思えてきて、兎に角実現するためには姑息な手段も考えてしまう。
本当は、他の人には見えていない道筋をきちんと説明して「やる価値はある」と理解してもらうことが必要なんだろうけれど、私の説明は話が発散してしまって他人には理解が難しいらしく、なかなか納得してもらえない。それに、普段平坦だと思って歩いている幅 30cmの板の上でも、その周りが奈落の底だと思った瞬間歩けなくなるのと同じで、一旦「怖い・無謀」と思った人にこの道は意外と大丈夫とどんなに言葉で説明しても、なかなか一緒に渡ってはくれない。例え発泡スチロールでも手すりを付けて「手摺があるから大丈夫」と欺いて渡らせるか、別のバディを選ぶしか無い。
例えば、まだEEPROMが標準品としてすら実用化される前に、EEPROMをカスタムで開発してそこに調整値を書き込んで調整工程の自動化をしようとした時、社内の半導体の専門家たちはこぞって「技術が確立していないのに無謀だ。コンピュータ用として確立してから使うべきだ。」と反対した。しかし私には「コンピュータ用半導体の信頼性とカメラが使用してきた超小型半固定抵抗の信頼性を比較したら、半導体メーカーが出荷出来るレベルなら十分勝ち目はある」と踏んで、半導体メーカーを巻き込んで突っ走った。結果はと言うと、技術は圧倒的に進歩したし、彼らが心配した品質も全く問題にはならなかった。それ以外にも、デジタルカメラの1号機の開発やメモリカードの新しい規格化など、大きな成果が上がった時というのはいずれもこうした、他人から見たら無謀な「綱渡り」、私からすればチャレンジャブルな「板渡り」をした時だ。
今日の写真は、「ヘクソカズラ」漢字で書けば「屁糞葛」だろうから何とも可哀想な名前だが、別に植物から見れば人間がどんな名前で呼ぼうが関係ないことだろう。花も名前以上に変わった形だ。
2013/07/05