e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、政治や思想・社会問題に対する勝手な私見を書いてみました。専門家ではありませんが、岡目八目という言葉もある通り、時には本筋を突いていることもあるかも?
Access Counter:  総アクセス数

楽 天 の 商 品

-900- 自分にしか出来ない仕事だけをやる
昨日に続けて
もう一つ、心に留めていたことがある。それは「誰かができることは、出来る人にやってもらう。自分にしか出来ないことだけをやる。」ということ。
沢山の人がいる組織では、どうしてもひとつの仕事を何人かが奪い合う形になりやすい。昇進の時の課長や部長というポストが最たるものだ。そのために、場合によっては熾烈な競争や足の引っ張り合いが生じる。
そうした競争が苦手だったこともあるが、むしろ競争を回避しても・・・回避した方が自分らしく生きられるということを見つけて以来、誰かがやりたがっている仕事は、誰かができる仕事はなるべくその誰かにやってもらうように仕向けてきた。
元々は、1年後に入社してきた後輩のM氏が非常にアグレッシブな人で、何かというと私を標的にして追い越そう追い越そうというミエミエな仕事の仕方で、最初のうちこそ そんな人柄が理解できずにストレスを感じたが、分かってしまえば却って楽で「やりたいならどうぞ」と譲ってしまう方が万事うまく行くことを学んだ。実在の日常の仕事や目立つ役割なら譲れば目前の成果が得られるので彼は喜んでやってくれるから譲っておいて、その隙に私は自分にしか気づかない、出来ないであろう事をやるように心がけた。その方がお互いのためだし、長い目で見れば私は他人の評価はともかく自分の満足できる仕事が出来る。
一番うまく行ったのは、工場での製品立ちあげの場面。相手はM氏では無かったが、日常の仕事は若い人のほうがずっと落ち漏れがなくて良かったので、ほぼ全てやってもらった。私がたまに手を出すと、思い込みや失念によるポカミスが自分でも怖かった。しかし、新製品に手強い不具合が出て、なかなか解決ができないと、その時は私の出番と決めていた。最初の頃のことは覚えていないが、何回目かの大きな不具合対策で原因の究明と対策立案をした時に、周りの皆もそうした役割分担を自然に受け入れているような関係があることに気づいて逆に利用しようと考えた。
長い時間をかけて開発設計をしてきた当の開発者が、生産目前で不具合にぶつかって何日考えても原因が突き止められないときに、それではと乗り出していって 1~2日で解決すると、明らかに魔法でも見るような目つきになった。他の人から見るといとも簡単に解決したように見えたようだが、そんなことはあり得ない。そこだけが自分の立ち位置と認識していれば、その 対処期間だけは完全に集中せざるを得なかっただけのことだと思う。そのモードに突入したときは、食事中でも寝ている間でも(危ない話だが通勤の車の運転中も)、頭はフルに回転し、他のことを考える余裕は無かった。職場での進展が思わしくなく 12時過ぎて帰宅しても、頭の中では疑問がグルグル回り続けており、解決策のヒントや問題の切り分け方法を思いついたらどんなに寝ていなくても翌日は誰より早く出勤しそれを確かめなくてはいられなかった。
そうしておいて普段は、ほとんど仕事らしい仕事をしないで、多くの時間はパソコンをいじっていた。必ずしも必要のないプログラムだが実験データのログを取って分析するようなプログラムを VBや Cといった言語で作っていた。1990年代の初めの頃、インターネットがダイヤルアップ接続でやっと使えるようになった時代だったが、開発のすべてのシーンでパソコンを使いこなすことが求められ、民生品ユーザーにも使われる時代がいずれ来るだろうと予想していたから。それが思惑通りとなり、デジカメの開発を初めて任されることになった時に生きた。デジカメに付帯させるための画像データをパソコンに取り込む簡単なアプリが必要になった時、それまで研究部隊で操作マニュアル片手にしか使えないような業務用の使いづらいアプリを作っていた人たちが担当したが、彼らの企画を見てとても民生用の市場では無理だと判断した。兎に角一般ユーザが使えるようなアプリに仕上げないとならず、しかもデジカメ本体が出来てもアプリがないのでは発売も出来ないから、最低限の機能に絞り、こうすればもっと使いやすくなる、こんな操作はダメなどと指示して、何とか 9ヶ月で彼らにしても初めての「販売」されるアプリを仕上げることが出来た。その時のソフトウェア担当のリーダーは当初、無謀運転の車に無理やり同乗させられるような仕事を押し付けられた上に、しかもフィルムカメラしか設計したことのない私が指示するのでは適切な判断は無理だと思っていたフシがあるが、デジカメと同時にパッケージされたアプリが店頭発売されると、その当日にそれを自分で店頭購入してきて、「私の担当したアプリが初めて店頭に並びました。」と顔を輝かせて報告に来てくれたことが忘れられない。
つくづく、あの頃パソコンで遊んでいて良かったと思ったし、それを見ないふりして許してくれていた周りの人達に感謝した。
今日の写真は、雑草の中に咲いていた「キツリフネ」の花。周りを探しても何故かこの一本だけしか無かった。誰かが植えたものが絶滅する寸前だろうか?
2013/07/02