e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録です。
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楽 天 の 商 品

-766- ボーイング787
= 今日は画像なし m(_ _)m =
ボーイング787の電池の発火事故がニュースになっている。リチウム電池の不具合は私も現役時代にかなり詳しく検討したので、やはり・・・と感じている。(過去にも取り上げた記憶があるので調べたら中国製の電池に関するコメントで、この時は乗客が持ち込むリチウムイオン電池を心配したんだが、旅客機そのものがリチウムイオン電池を積むようになったとは驚いた。もうとうに処分されてないだろうけどボーイング社の人間が私の25年ほど前のあの時の実験ビデオを見たら、あるいは電池の種類を変えていたかもしれない。こうしたニュースを聞く度に当時の実験が思い出されるが、それだけ当時の実験の印象が強烈だったということ。)
ちょうど朝日新聞朝刊にリチウム電池を使うに至った説明記事が載っており、それによれば ボーイング787は、それまでの旅客機と比較して、大幅に油圧制御をモーター制御に置き換えることで油圧パイプを電気配線に置き換えて機体の軽量化を達成し、燃費の改善を図っているとのこと。そのためモーターの補助電源としてリチウムイオン電池を積んでいるらしいが、確かにリチウム電池は重量(体積)対エネルギー比では他の電池とは比べ物にならないくらいに優れており、航空機の設計には喉から手が出るほど欲しいデバイスだろう。しかし、逆にエネルギー密度が高い=危険という事にもなる。電池の反応物質も燃料などと同じく物理的原理から体積エネルギー比が大きくなればなるほど小型化できるが、制御不能になった時のダメージも比例して大きくなる(原発に使うウランは同重量の石油の≒150万倍のエネルギー密度があるらしいが、事故の場合のダメージも比較にならない)。ニッケル水素などの他の電池は過充電などで発熱しても本体が膨らんで液漏れする程度で済むが、裸のリチウム電池で過充電が起きると最悪火を噴く。少なくとも私の検討していた頃のリチウム1次電池が電極に使用している金属リチウムは水に入れると火を噴き、電池は火炎放射器のように火柱を上げたが、それくらい活性力=エネルギー密度があるということ。
話は今から30年近く前に遡るが、当時のカメラに使っていたリチウム電池(但し当時のリチウム電池は 1次電池で充電式ではなく金属リチウムをそのまま使用していたので若干異なるかも知れないが、体積エネルギー比からすると危険性は似ているはず)のあるメーカー製のものが市場で発熱不具合を起こし検討したことがあるが、実験で意図的に過放電状態にした電池が迂闊にも目の前で暴発・炎上した時には金属片が目のところに飛んできて、暫く視力が落ちたという経験をした。「危険」とは知りつつも、失明の危険と隣り合わせとは思いもせずに実験していたので、つくづく失明しなくて良かったと思ったものだ。後から分かったことではあるが、そのメーカーは先発メーカーの構造を真似をして製造したらしく、先行メーカーが膨大な検討の結果得た眼に見えない製造ノウハウまでは真似できず事故を起こした。危険な電池ということは分かっているので、電池の中に特殊なヒューズを入れて、発熱や過電流で瞬間的に電流を遮断する構造を真似しただけで十分と思ってしまったらしい。ところが問題の電池は過放電状態になるとそのヒューズの手前で逆にリチウムが生成されたり、製造工程中に眼に見えないくらいの微細な金属粉が混入したりしただけで、使用中に正負電極間が直にショートしてしまったようだ。そんなエネルギー密度の高い電池が正負電極間でショートすれば、外部にどんな安全処置を講じようとたちどころに発火・暴発するということは想像に難くない。放電して残った電極だけでも火炎放射器のようになったんだから、リチウムイオンと言えども充電された状態だったら発火は十分に想像できる。もちろん、外部の制御回路で絶対に過充電しない制御をしているんだろうが、そんな危険な電池で、しかも飛行機に載せるということは仮に過充電状態になっても絶対に発熱・発火に至らないような 2重3重の内部安全設計が必要なはずだが、テレビ画面で報じられる電池の焼け焦げた映像を見る限りでは、そうした安全設計が不十分だと思わざるをえない。(危険を承知しながらも究極のエネルギー密度の高さに目を奪われ、問題発生時の安全設計の欠陥で制御不能に陥ったという点では原発に根本がどこか似ているような気がするんだが。原発も日本としては後発だし、ユーザーの使用環境=地震国日本という特殊性の考慮・検討が不十分だったという点においても。)
今回のGSユアサの電池の不具合原因がどこにあるかはいずれ解明されるのだろうけれど、ユアサもリチウム2次電池では後発なだけに、先行メーカーのノウハウを十分に知らずに形だけ真似した部分がある可能性は否定出来ない。
結局、前出の後発メーカーはこの事故でリチウム電池市場から撤退せざるを得なくなった。(続編あり)
話は変わって、また寒さの話。今夜は昨夜よりもまた一層気温が低いようだ。8時ころに外出した時の車外温度計はすでに 0℃だった。恐らく明日の最低気温は今朝よりも 2℃くらい低そうだ。
2013/01/18