e日記風 独り言

#気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、私の興味ある電気製品やスマホ、あるいは世の中のサービスに関する記事です。
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楽 天 の 商 品

-1956- 使えない・・・ではないが「ソーダ商品」
ここまで私が偶然使ったり気づいたりした使えない商品・サービスを幾つかやり玉に挙げてきたが、TVCMを見ていて、自分では使ったことはないものの「??」と思わざるを得ない商品の宣伝が目に止まった。今までもいくつかの商品に「??」と疑問を抱いてきたが、つい最近派手な宣伝を見て記事にしようと思い立った。
それは技術屋的に実質的な機能・効果に疑問を抱かざるを得ないのに、コマーシャルで「良さそうだ」「便利そうだ」と思わせて買わせる商品だ。勝手な命名ながら、私はそうした商品のことを「ソーダ商品」と揶揄している。現役時代商品の企画・開発に携わり、いかに優れた機能や性能をユーザに分かってもらうか、認めてもらうかに腐心してきた立場からするとお節介は分かっていながらどうしても一言苦言を呈したくなるのだ。
その第一弾は、私自身数年前まで殺菌を謳う技術に携わっていたこともあるせいか、つい気になってしまう殺菌商品。「次亜塩素酸で空気を洗う」と言う謳い文句の P社の「ジア○ーノ」という製品。同社はその前に(今でも?)エアコンなどで宣伝していた「ナノ○ー」と言う商品もあったが、新しく「ジア○ーノ」が登場したということは、次の主力商品に育てようということだろうか? と言うことは一時期あんなに宣伝投資していた「ナノ○ー」では不十分だったと自身でも認めた?
いずれにしてもこうした「空気中を除菌する」という商品で私が疑問を感じるのは、空気中に浮遊する菌やウイルスのサイズと除菌微粒子のサイズの問題だ。まず多くの菌はミクロンサイズ(1/1000mm)だし、ウイルスに至っては 更にその 1/100(10ナノメートル)程度。一方 「ジアイーノ」などが空気中に噴霧する水蒸気微粒子は数十ミクロンだと思われる。宣伝を見ているとつい「菌を目指して殺菌粒子が飛んでいく」ように錯覚してしまうがそんなことはない。こうした微粒子が空気中に漂っていて「交通事故のように」菌に行き会う確率は、別の例えをすれば「体育館の中に数個あるピンポン玉(菌)に勝手にフワフワ浮遊する風船(殺菌性微粒子)が当たるようなもの」で、殺菌微粒子に活性力があるうちに、あるいは空気中の菌ではない埃などの有機物に行き会って殺菌力を失う前にまず菌に行き会う必要があるが、それにはかなりの濃度の殺菌微粒子を噴霧しないと実効的な殺菌効果は得られない。しかしその一方でその殺菌微粒子は細菌に対してだけでなく人体の肌やとりわけ粘膜などのたんぱく質にも作用するから、そんなに高い濃度にした場合は人体への影響も懸念される。
「ジア○ーノ」の場合、 Webページで見ると「反応臭は、効果の証!  次亜塩素酸が有機物と反応した際に発生します。反応臭(塩素臭)がしたら、それは今まさに空間をキレイにしている最中だと思ってください」「プール臭がさわやかさ、清潔感という、良い印象につながっているように思えます」などと塩素臭がすることを積極的に認めている。他のページでは「傷ついたウサギにも安全」のような実験結果も載ってはいるが、勉強部屋などの閉塞空間で長時間使用した場合、目や鼻などの粘膜が弱い人は結構きついのではないだろうか?
上記ページを良く読み込むと空気の殺菌は次亜塩素酸粒子の噴霧だけでなく次亜塩素酸液を浸したフィルターに部屋の空気をろ過することによっても殺菌するらしい。実質的にはこっちの方が効いていると思うが、それでも 12時間で「99%以上除菌」と言う謳い文句自体が「まやかし」と言わざるを得ない。と言うのも同社自身の上記の関連ページのグラフにも風邪菌は 12時間で「90%」程度は自然減衰しているし、 このページにもある通り、「湿度50%なら 6時間後のウイルス生存率は 5%未満」と言う研究報告もある通り、菌・ウイルスはかなりの割合水蒸気粒子などによって自然減衰していると思われる点。
つまり同社の言う通り 99%以上の菌が殺菌されているとしても、それは水蒸気や水フィルターによって大方の殺菌・除菌が行われている可能性もあるのに、あたかも「次亜塩素酸噴霧」で 99%以上の菌・ウイルスが死ぬ、と思わせる宣伝は誇大と言わざるを得ない。
そして、殺菌を売りにするこうした商品の最大の問題は普通のユーザはその環境下でだけ暮らしているのではないし何時感染したかも分からないから、例えその部屋で感染したとしても「100%とは言っていない」とか、電車などの別の場所で感染したんだろうとか、効果に対して文句のつけようがないので決して尻尾を掴まれないということ。まさに「ソーダ商品」の極みだ。

今日の写真は前にもアップしたと思うが十月桜。神奈川に新年に戻った時に、青空にピンクの花が綺麗だった。
2018/01/14