e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録のうち、個人的な思い出や生活、食に関する話題のページです。
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楽 天 の 商 品

-1483- キャベツの千切り
= 今日は画像なし m(_ _)m =
昨日までと突然話題が変わるが。
リタイアして、世界平和の基本である家庭平和のため時々台所を手伝う(手伝わされる?)ことがある。まぁ茶碗を洗ったり、野菜を洗ったりと言う程度なんだが。そうした中、キャベツの千切りをするときに必ず思い出すことがある。
時はもう 50年近くも昔、高校を卒業してとりあえず就職しようとした時なんだが、私が学校から紹介されたのは当時の電電公社の東京の電話局だった。そこへの面接に上京する時だったと思うが、就職担当の先生と一緒に中央線で東京駅までの旅はM君という男と一緒だった。私の行ったのは追手町の東京電電の建物だったと思うが、彼は日本橋にある料理屋に就職すると言う。我々の学校は一応進学校だったから、料理人になると言う彼はかなり珍しく、その時その事をはじめて聞いてびっくりしたと記憶している。
元々、中学の時に高校の先生をしていた父親の転勤で同じ中学に転校してきた男だったが、中学~高校とずっとクラスも違ったしそれまでは何回かしか話したことがなく、”何かの技術屋になってとにかく設計をしたいから”夜学に行くために”とりあえず就職する”等と言う軟弱な私からすると「俺は料理人になって皆に美味しいものを食べてもらいたい」とはっきり将来を描いている彼にビックリした。
その後就職してから会うこともなく、1年くらいした時だったと思うが、もう一人の共通の友人に誘われて彼のいる店にトンカツを食べに行ったことがある。その時彼は「まだ俺は肉には触らせてもらえない。」と言いつつ歯の長い包丁で半分に割ったキャベツを千切りにしながら「俺の切ったキャベツだ。たくさん食べてくれ。」と勧めてくれた。その言葉を聞いて、半公務員の世界とは全く違う料理人の世界の厳しさに驚きながら、彼がきれいに細くきったキャベツを2回もお代わりして食べた記憶がある。肉の味はとうに忘れてしまったが、あの時の細く長くきれいに揃っていて柔らかかったキャベツの味はいまだに忘れられず、どちらかと言うと”百切り”のようにしか刻まない家人には任せず、キャベツだけは私が刻むことが多い。
その彼は、まもなく一人前になって今は故郷に戻って立派な自分の店を出している。今でも、飯田に帰ると時々は彼の店に寄ってその時の話をしながら、トンカツを食べさせてもらう。
毎回必ずそんなことを思い出しながら、時々は話題にしながら「細く、長く」と念じながらキャベツを千切りにするが、残念ながらいまだに私の千切りもあのキャベツの足元にも及ばない。
2015/10/20