自動車のウインドウスイッチ不良解析

2006/12/17

私の愛車は 「マツダ ランティス」というマイナーな車です。
一時期、デザインがいいということで一部に人たちには評価されたり、他社のクルマが一部のデザインを真似したりしたものの、あまり売れなかったと見えて、今はもう販売されていません。
私はクルマに関しては殆ど興味も見識もありませんが、私なりに考えると、このクルマはデザインを大切にしすぎて、その他の性能を犠牲にしているような気がします。
例えば、購入した初期に、何故か嫁さんが運転するとよくノッキングを起こしてパワーステアリングが利かなくなってエンストしてしまうということが何度かありました。嫁さんはハンドルが急に重くなるものだから怖がって、再三サービスに出して見てもらいました。しかし私が再現しようとしても、サービスの人が再現しようとしても全く再現はしませんでした。唯一、私が運転中にエンストをしたことが一回あり、その時はエンジンをかけてすぐカーブを曲がろうとしたときで、多分アイドリングの回転数が異常に低かったような気がしました。そこでそのことを話すと、多分サービスの方は、アイドリング回転数を少し高めに調整してくれたようで、それ以降こうした現象は起きていません。しかし、最近のように駅との往復しかしないような運転では異常に燃費が悪く、1800ccにもかかわらず、6Km/Lくらいしか走りません。それでも家族は、デザインが気に入っているらしく、ケチな私以外は皆満足しています。
さて、前置きが長くなりましたが、この間、駅に娘を迎えに行って助手席側のウインドウガラスをちょっとだけ下げようとした時、オートスイッチのようにガラスが下まで下がってしまいました。「あれっ」と思って、今度は上げようとすると上がりません。スイッチのところを良く見ると、スイッチが下がったままで、跳ね返ってきません。「スイッチのバネか、スイッチを押しているツメでも折れたかな?」と思ったんですが、よく考えるとこれは大変なことです。
窓が閉まらないと言うことは、雨が降ったら室内は濡れてしまいますし、防犯上そこいらに止めておくことも出来ません。幸いにも、私の駐車場は機械式駐車場の中段なので、普段は雨の心配もありませんし、わざわざ駐車テーブルを上げてイタズラする人がいるほどのクルマでもありませんから、一晩くらいはいいのですが、雨が降ったら運転できないのも、寒い中ガラスを下げたまま走るのも大変です。
そこで、翌日、会社に行く前にクルマを出して、いつもの如く自分で修理できないか見てみたんですが、最近のクルマの、特にドアは非常に分解するのが大変なことが分かりました。何本か見えるところにあるビスは外してみましたが、とてもカバーが取り外せるような気がしません。また、重量があるユニットですから、外せたとしてもうまく元通りに組み立てられるかどうかも分かりません。仕方ないので近くにあるマツダのディーラーに持ち込んで、応急修理でガラスを上げてもらい、ついでに部品を取り寄せてもらうことにして、次の土曜日に再びディーラーに行って部品交換してもらいました。
このクルマはもう11年も乗っていますので、部品不良は仕方ないと諦めたのですが、どんな部品のどんな部分が故障したのか興味があったので、修理が上がった際、外した部品をもらって帰って分解してみました。

以下、その<レポート>です。
まず、もらって帰ったウインドウガラスのスイッチユニットの外観です。どうもこのユニットはOMRON製のようです。分かりづらいと思いますが、黄色の矢印を付けたスイッチが他と比べると若干下がっています。
carswitch1
これをひっくり返して、キバン上のビスを4本外すと、上のカバーが外れます。
car switch2
キバン上に見たことのないスイッチが対向して4つ、更に右側にもボスの1つしかないスイッチが一つ載っています。赤い点線で囲った部分の二つある灰色の突起が問題のスイッチの部分で、この間に次の写真の赤で囲ったレバーの部分が入り込んでいるようです。良く見ると、黄色い矢印の部分が少し左に傾いて、左に寄ったまま止まっているのが分かります。多分、これが問題だと思われます。ピンセットでこの灰色の突起をスライドさせてみると、右側はバネの力に対抗してスムーズに動くのに、左側は途中で引っかかって止まってしまいます。
car switch3
もうこのユニットを直すつもりはないので、青い色をした止め金具を外して、中の部品を取り出します。
car switch7
中はこんな感じで、灰色の部品がバネで中央に押しつけられて制止するようになっています。左側の部品は、途中で引っかかって止まっていましたが、カバーを外したら中央に戻ってしまいました。
car switch4
二つ対照的な部品が中で独立してスライドするようになっています。(右側の部品にも、外側にバネが着いていましたが、外れてしまいました。)この部品のボスの部分は左側が若干左に傾いていますが、先ほど見た位置がずれるほどひどくはないようです。
car switch5
で、この部品をひっくり返してみると、接点を構成している金属のプレス部品が嵌め込まれていますが、左側の黄色の矢印をした側がかなり飛び出しているのが分かります。どうも熱か、力でこの金属の左側部分が、プラスチックの中に潜り込んでしまい、矢印の側が飛び出してきてしまったようです。この金属の裏側には板バネが入っていて、この接点部分を上に持ち上げるようになっているようですが、左側の部品では接点部分が潜り込んだためそのバネの力も全く利いていません。
car switch9
スイッチケースから灰色の部品を外したところですが、奥に接点の静止側が見えます。ギザギザのプレスで抜いた板になっていますが、この板の段差部分か周りのプラスチックの段差部分に上記の飛び出した部分が引っかかって、バネの力でも戻れなくなってしまったものと思われます。
ちょっと想像とは違った現象だったのですが、いずれにしてもプラスチック部品の経年変化から、金属部分との間に異常な力が加わるようになって、それがこんな変化を生じたと思われます。
ということで、あまり成果のない分解でした。


<<<回路製作記 その3    Index>>>

NAME.gif 総アクセス数